ネオウイルス学 2020 8 16

書名 新型コロナウイルスを制圧する
著者 河岡 義裕  文藝春秋

 新型コロナウイルスの流行によって、
ウイルスは、すっかり悪者になってしまいましたが、
人間に悪さをするウイルスは、数パーセントであり、
ほとんどのウイルスは、無害だろうと考えています。
逆に、人間を助けるウイルスも存在します。
 そもそも、ウイルスと細胞の関係を考えると、
細胞から余計な部分が落ちて、
シンプルな形になったのがウイルスだったのか、
ウイルスがいろいろな機能を獲得していった結果、
細胞となったのかわかりませんが、
今でも、ウイルスが細胞に、
DNAやRNAを運ぶ「運送屋」になっているのは間違いないでしょう。
 人間のDNAは、とてつもなく長いものですが、
その中には、ウイルス由来のものがあります。
 だから、人間のDNAは長くなったのか。
ウイルス感染するたびに、人間のDNAは長くなったのか。
 ところで、スマートフォンは、買った時と比べると、
1年後、2年後になると、機能が強化されていきます。
 これは、OS(基本ソフト)やアプリがアップグレードされるからです。
このアップグレードは、通信回線を通じて、
インターネット経由で、スマートフォンに入り込んできます。
 ただし、アップグレードのために送り込まれたソフトウェアに問題があると、
アップグレードしたのに、スマートフォンの動作が不安定になったり、
スマートフォンがフリーズ(画面が固まる)するでしょう。
まるで、スマートフォンがウイルス感染したように見えます。
 もちろん、新型コロナウイルスが悪者であることは間違いないのですが、
このまま感染が続くと、全人類が感染してしまいます。
その結果が、どのような未来を招くのか、わかりません。
 「新人類」が登場するのかわかりませんが、
感染による犠牲者が増えるので、ウイルス感染を防ぐ必要があります。
 さて、前置きが長くなりました。
この本から引用しましょう。
 ウイルスによる治療は、がんにも使われています。
これは、悪性度の高いバーキットリンパ腫の患者が、
麻疹ウイルスへの感染から回復したら、リンパ腫も治ったことに、
ある医師が気づいたのが、きっかけでした。
 麻疹に感染すると、がんが一気に治ることがあります。
そこで、弱毒化した麻疹ウイルスを投与する臨床研究も行われています。
 麻疹に感染すると細胞は死んでしまいます。
そこで、がん細胞にだけ感染するような弱毒化した麻疹ウイルスを作製することで、
がん治療に用いるのです。
(引用、以上)
 新型コロナウイルスは、細胞膜の「ACE2」という受容体にくっつくことで、
細胞への侵入が始まります。
ACE2の形は、台座はありませんが、まるでワイングラスのような形に見えます。
 そこで、著者の研究室では、以下のような研究を行っています。
ワイングラスの形で言えば、茎のない器だけの部分、
つまり、「分泌型ACE2」(sACE2)だけを作る遺伝子を合成して、
sACE2遺伝子を、1回しか増殖しないようにしたインフルエンザウイルスに組み込みます。
 これを新型コロナウイルスに感染した患者に導入すると、
体内でsACE2が新型コロナウイルスにくっつきます。
 そのため、細胞の表面にあるACE2レセプターに、
新型コロナウイルスが結合するのを邪魔することができるのです。
 さらに、人間の体内では、
肺の修復にACE2のタンパク質が関与することがわかっています。
 そのため、ベクターウイルスを使って、sACE2を薬のように投与すれば、
新型コロナウイルスで重症化した肺を修復することもできるのではないかと予想しています。
(引用、以上)


























































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